コロナ禍の中、UoPeopleのOnline education strategiesのコースを修了した振り返りと学んだこと
前回までのあらすじ
- コンピューターサイエンスの学位を取るために、University of the Peopleという学費無料の米国オンライン大学に入学してみたよ。
- 入学にあたってはEnglish Composition1というコースの受講と試験をパスする必要があるけど無事パスしたよ。
- でも正式な学部生(Degree-seeking student)になるためには、更に2つ以上の基礎コースを修了する必要があるよ。
- Online Education Strategies(UNIV 1001)とProgramming Fundamentals(CS 1101)という基礎コースが4/9から始まったよ。
- Online Education Strategiesの課題の量やばい。
- Programming FundamentalsはPythonのコース。超基礎からだけど学び直しという感じでわくわくするね!
- でも2コース同時受講って週に30時間程度学習時間が必要だよ?
- そんな中パンデミックの影響で娘の保育園から登園自粛要請が!
- 子供の面倒を見ながら家でフルタイムで仕事をして大学生やるの?無理じゃない!?どうなる私!
はい、そんなわけでですね、「いや、無理でしょ」となったので涙をのんでProgramming Fundamentalsはdropしました。
dropというのは「コースが始まってから1週間以内の辞退」のことで、ペナルティがなにもない。
つまり成績表にもなにもつかない。
戦略的撤退のことであります。
だから今期はOnline Education Strategiesのコース1本だけ受講していました。
子供を見ながらの仕事のつらみ
「子供をみながらの仕事」は想像以上に仕事にならなくてですね、どんだけ仕事にならないかはこの方の記事をぜひ見てください。
在宅勤務with kids、1日の実働時間15〜16時間の育児と実働8時間の労働のダブルワーク状態なので普通に考えてそりゃまともに回るはずがないのだ。
— えんぴつ@子育て中フロントエンジニア (@empitsu88) 2020年5月11日
わあい16時間+8時間で24時間に収まるね🤗
とはならない😇
わかりみが深すぎる…。4時間ずつ夫と交代で子供をみているけど、常に「だっこ、だっこ」「まま、まま」なので文字通り1行も開発できないし、コードレビューもきつい。
— えんぴつ@子育て中フロントエンジニア (@empitsu88) 2020年5月8日
夫に任せてるときも部屋に乱入してきたり、泣き声が気になったりして結局全然集中できない…🥺 https://t.co/8AWKcxN32A
平日は夫と4時間交代で子供を看るようにしてるんだけど、
— えんぴつ@子育て中フロントエンジニア (@empitsu88) 2020年5月17日
仕事タイムのときでも
作業始める(30分)
→打ち合わせ(30分)
→作業戻る(15分)
→子供が乱入する(45分)
→チャットで質問がくる(15分)
→子供がめっちゃ泣いててヘルプに行く
→ 作業(略
とかやってるとあっという間にタイムアップ/(^o^)\
ちなみになぜOnline Education Strategiesの方ではなくProgrammingを辞退したのかというと、Online Education Strategiesは「全ての生徒が最初に絶対受けるべきコースとして設定されている」からです…。
本当ならProgrammingの方をやりたかった…。
今日は、「Online Education Strategies本当大変だった…」という話をします。
- 前回までのあらすじ
- 子供を見ながらの仕事のつらみ
- Online Education Strategiesとは
- English Composition1はまだまだ序の口だった
- 評価基準が厳しい
- 興味のあるトピックもありました
- Academic Writingをするときのポイント
- 費やした学習時間と学習タイミング
- 最終Grade
- このコースで最高GradeのA+を狙うにはどうしたらよかったのか。
- 次どうするか
Online Education Strategiesとは
すべてのUoPeopleの学生はこのコースを最初に受講しなければいけません。
コース名の通り、オンライン学習を成功させるための戦略を教えてくれるコースです。
- UoPeopleの制度や行動規範について
- ピア学習・ピア評価のメリット
- 成功する自発的学習者の特徴
- 批判的思考・問題解決のメソッド
- 効果的なノートの取り方
- 剽窃を避けるための引用のノウハウ
- タイムマネジメントのノウハウ
- ストレスマネジメントのノウハウ
- 試験のためのTips
などなど…。
少し古い内容になっていましたが、シラバスがこちらで見れます。
English Composition1はまだまだ序の口だった
以前の記事でEnglish Composition 1は課題がめちゃめちゃ多いという話を書きましたが、まだまだ序の口でした。
求められる文字数が多い
- ディスカッションの課題では250 words以上。
- 同級生のディスカッションへの返信はそれぞれ100words以上。(3人以上に返信必須)
- ラーニングジャーナルは450words以上。
- Written AssignmentではWordでA4フォーマットで2ページ以上(単語数にすると500words以上)。
↑毎週この課題が一気に出されるわけです。
250wordsとはだいたいこれくらいになります。
最初は面食らいました。
しかし、後に述べる通り文字数はあまり問題じゃありません。
評価される文章を書こうとすると自然と長くなってしまうので、制限字数内に収めたり、書いた文を推敲する方が大変でした…。
課題図書の量も多い。
読むべき文献として、論文3本+テキスト1章分(約20p)+ブログ記事2本+動画2本 みたいな量が毎週でます。*1
特に論文は大抵PDFなので機械翻訳もかけづらく、時間をとられました…。
論文を翻訳する際のTipsは以下の記事にまとめています。
評価基準が厳しい
English Composition 1のコースで5 paragraph essayについて学んで、「はえ〜論理的な文章とはこう書くのか〜」と感心していましたが、あれは大学入学前の練習に過ぎなかったのです。
このコースから完全に大学レベルに移行したのを感じました。
高得点を取るには、以下の点が求められます。
- 与えられたQuestionに関して、複数の視点から回答する。
- たとえば、「批判的思考とはなぜ重要なのか答えよ」などのQuestionが課題として出される。
- 理由を網羅的に述べられたらベスト。
- そして提示した視点・アイデアはそれぞれ具体的に詳細を述べる。
- 適切に引用して自分のアイデアを補強する。
- むしろ参考文献(引用)ゼロだと減点される。
- 同級生への採点・フィードバックでは、その点数をつけた理由を明確に書く。
- 更に、どうすればもっとよくなるかというアドバイスを具体的に書く。
- ディスカッションポストへの返信は、"I agree with you" とか"Great job!"だけではNG。 具体的に理由を書く。そして議論を発展させ価値を付加するコメントをする。
- Wordで課題を提出する際はAPA Styleのフォーマットに従う。
- Double spaced, 1-inch margins, 12-point Times New Romanなど…
もちろん、すべての課題図書を精読した上で課題に取り組むのが大前提となっています。
文献をすべて読んで理解しないと「複数の視点から」「網羅的に」そして「具体的に」述べるというのが難しいためです。
この評価基準は今後のコースでも同様だと思うので、最初に叩き込まれる必要性はとてもわかります。
でもいかんせん時間はかかります…。
なによりモチベーションがわかない
特に最初のUnitのトピックは「ピア学習の効果」「ネチケットの重要性」などだったので、き、興味ね〜〜となってました。
「UoPeopleのすべての学生が最初に受けるべき大事なコース」と言われる理由もわかります…。わかります…。
が、私はComputerScienceについて学習しにここへ来たので…。
興味はわかなくても、大量の文章はかかないといけないのですよね…。
興味のあるトピックもありました
しかし、もちろん学んでいて楽しかったトピックもありました。
クリティカルシンキング・課題解決
クリティカルシンキング・課題解決は実務に直結するスキルなので、そのUnitではようやくモチベーションが上がってきました。
以下のようなトピックが学べます。
- 6つに分類されるthinking skill
- その中でのCritical thinking の位置付け
- Critical thinkingを実践するプロセス
- アイデアの妥当性を検証する際にはFallacies(誤謬)がないかをチェックする
- Creative thinkingを実施するためのTips
- 問題解決のための様々なフレームワーク
Critical thinkingのプロセスについての教材、やりがちなFallacy(誤謬)についても体系的にまとまっていて面白い。
— えんぴつ@子育て中フロントエンジニア (@empitsu88) 2020年5月3日
どれもTwitterとかでよく見るやつ。
- Generalizations
- False Cause
- Personalizations
- Everyone Does It
- Appealing to Authority
- Weak Analogy
- False Dichotomy
上から
— えんぴつ@子育て中フロントエンジニア (@empitsu88) 2020年5月3日
・主語がでかいこと
・因果関係がまちがってること
・議論には直接関係のないのに相手の性格や普段の行動で判断する
・「みんなやってるから正しい」
・「信頼できるXXさんが言ったことだから正しい」
・無関係なものを「AがそうだからBも同じなはず」と判断
・極端な二つの選択肢をだす
Root Cause Analysis: Tracing a Problem to Its Origins https://t.co/68gbN6criY
— えんぴつ@子育て中フロントエンジニア (@empitsu88) 2020年5月3日
今週のOnline Education Strategiesのトピックは問題解決の手法についてで実務に直結する話だからようやくちょっと楽しくなってきた。
ただ、課題が難しすぎて相当時間を使いました…。
どこまでちゃんとやればいいかわからず、考えたことをすべてレポートにまとめたらA4 10ページ(1600words)もの大作になってしまった…。
#UoPeople の今週のトピック、Critical ThinkingとかProblem Solvingの手法について学べるので楽しい!モチベがあがる!んだけど、課題の量が多すぎる…
— えんぴつ@子育て中フロントエンジニア (@empitsu88) 2020年5月3日
「年金基金への投資アドバイスについてこのようなジレンマがあるが解決策を提示せよ」とかなんなんだ…卒論かよ。
それを木曜日までに提出…😂
学習サイクルと効果的なノートの取り方
テキストによると、学習は
Prepare(準備)→Absorb(吸収)→Capture(記録)→Review(復習)
のサイクルを回すことが効果的だとされています*2。
本や文献を読む際も、以下のステップでActive Readingを行うのが効果的だとされています。*3
- 文献を読み始める前にざっと目を通してから、各トピックのタイトルを疑問文に変換してノートに書いておく(Prepare)
- 疑問に対する答えを探しながら読む(Reading)
- キーアイデアをノートに書き留める(Capture)
- 学んだことを要約する(Review)
今までの自分の学習スタイルはだいぶ「吸収」に偏っていたので他のステップもちゃんとやらないとなあ、と反省しました。
ちなみにノートの取り方としては、Lists, Outlines, Concept Maps, Cornell Methodsなどのメソッドがあり、多くの大学ではCornell Methodsが推奨されているらしいです。*4
タイムマネージメントと効果的な目標設定
印象に残ったのはこのタイムマネジメントについてのTED Talkの動画です。
未来に向けて振り返りを行うと、自分が本当に優先すべきことが明らかにできるというものです。
今が来年末のつもりに なってください あなたは自分の成果を 振り返っています 仕事の面で非常に 成果のあった年でした その素晴らしい成果のために あなたがしたことを3~5つ挙げてください
これは私生活にも使えます 多くの皆さんは 私のように 12月になると カラフルな紙が折り込まれた カードを受け取るでしょう 「○○一家からの年末報告」 みたいなやつです
今が来年の年末だと 思ってください まったくもって素晴らしい1年でした 自分にも 自分にとって大事な人たちにも その年を素晴らしいものにするのに あなたがしたことを3~5つ挙げてください
(Vanderkam, L. (2016, October). How to gain control of your free time [Video file]. TED. より引用)
他にも
「具体的で、達成可能で、締切のある目標を短期・中期・長期と3つ設定する」*5とか
「スケジュールを立てる際は科目毎の時間割を作るのではなく、"いつ自分の趣味や息抜きをするか"を最初に設定する」*6
など様々なTipsがありました。
中には、「まあ大事なのはわかるけどそれができたら苦労しないよね…」と苦笑いするものも多かったですが…。
今週の課題図書はタイムマネジメントについてなんだけど
— えんぴつ@子育て中フロントエンジニア (@empitsu88) 2020年5月24日
仕事や家庭のある学生向けの項目もあって
おっどんな有用なtipsが?と期待して見たら
「仕事がフレックス制ならば、昼間に学習できるよう調整しよう」
「一緒に夕食の支度をするなど、家族と過ごす時間を増やそう」
とかでチベスナ顔になってる
Academic Writingをするときのポイント
このコースを通じて、Academic Writingで抑えるべきポイントを嫌というほど叩き込まれました。
ひとつひとつは基本的なことばかりですが、
普段は「ここまで書かんでも伝わるじゃろ」とハイコンテキストな文章を書いてしまいがちなので、
人に何かを伝えたい場合は基本を抑えて伝わる文章を書かないとだめだなーと反省しました。
- 結論は最初と最後に同じことを書く。
- 各段落の最初はトピックセンテンス(主文)。
- 後ろに続く文はサポートセンテンスとしてトピックセンテンスを肉付けする付加情報を書く。
- サポートセンテンスではエビデンス、根拠を出す。
- 学術論文や然るべき機関が発表している資料など、信頼できる情報源から引用してサポートするとよい。
- 個人的な経験を問われるときもあるが、その際も具体的に書く。
- 問いに答えるときは、わかりやすいシグナルフレーズを使って書き始める。
- 例えば、「XXの定義を述べよ」という問題だったら"The definition of XX is .."と書き始める。
- 変に言い換えると"You should state more explicitly"と言われて減点される場合がある。
- 複数の視点や理由を述べると良い。網羅的に述べられるとなお良い。
- 他の文献から引用した場合は、その前もしくは後ろに自分の言葉で「So what?」(つまりどういうことか)を書く。
- Critical thinkingのメソッドを利用して、自分や他人のアイデアの妥当性を評価する。
- 問いには明確に、期待通りに答える。
- 求められているのが「定義」なのか、「要約」なのか「分析」なのか?.
- 例えば、「定義」を聞かれているのに「利点」を述べていて減点される同級生をよく見た。
費やした学習時間と学習タイミング
一週間あたり13〜15時間ほど費やしていたので、大学から提示された目安時間の15〜17時間とほぼ同じでした。
ただ、試験がある週は総復習のためにすべての課題図書を読み直していたり、ノートにまとめたりしていたので19時間ほど費やしていました。
日中は仕事と家事育児があるので、子供が寝た後の時間や朝仕事を始める前の時間に課題をこなしていました。
最終Grade
最終的なGrade Pointsは100点中94.52点で、A評価(GPAで言うと4.0)でした。
あと4点あれば最高GradeであるA+が取れましたが、GPAとしては満点の4.0が取れたので大満足です。
もし卒業後に大学院などを狙う場合はCGPA(Cumulative Grade Points Average。すべてのコースのGPAを平均した数字)が重要になってきます。
大学院によっては入学要件として高いCGPAが求められるためです。
このコースで最高GradeのA+を狙うにはどうしたらよかったのか。
Aが取れたので満足ではありますが、このコースでそれ以上のA+とか絶対無理だわって思い知りました。
これ以上点数を上げるには、ちょっとでも疑問があったら毎回先生と戦う覚悟が必要なのかな、と思ってます…。
自分としては10点満点のつもりで出していても、
ふわっとした理由で先生に8点をつけられたり、理由なく(なんのコメントもなく)同級生に8点をつけられる、
ということは何度かありました。
「10点中8点ならまあいいかあ…」とスルーしてしまっていましたが、毎回先生に連絡して問い質せば変わったかもしれないです。
ただ、対応してくれるかどうかは先生によるので運の要素もあります。
課題もある中でメールで連絡を取り合う必要があるので、そこまで時間を割くのもなあという気持ちもあります…。
次どうするか
とりあえず前回見送ったCS 1101 Programming Fundamentalsと、必修の一つであるMATH 1201 College Algebraを履修登録しています。
ようやく当初の目的であった数学やプログラミングの学習ができる😭
ただ、未だ保育園には登園できていないし、保育園再開したとしても働きながら2コース同時受講は厳しいのでどちらかに絞る予定です。
次の科目をGrade C以上の成績で修了できれば無事正式な学部生になれるので、もう少し頑張りたいと思っています。
来期(6月)の履修登録始まった。
— えんぴつ@子育て中フロントエンジニア (@empitsu88) 2020年5月17日
保育園再開するの7月以降になりそうだからそもそもまともに履修できるのかも謎だけど、やっぱりalgebraとか数学の授業も受けてみたいなあ…。
けどシラバス読んでも英語の数学用語わからなすぎて完全にびびってる。
*1:先程貼ったシラバスにも課題図書は公開されているので、具体的にどんな内容なのか見ることができます。
*2:College Success chapter1.3より。
*3:College Success chapter 5.2より。
*4:College Success chapter 4.4より
*5:College Success chapter 2.1より
*6:Barton, D. (2015, March 26). What do top students do differently? [Video file]. TEDx Talks. より。